空が冴え澄む冬の静寂の中を鳥のさえずりだけが響きます。時を越えていにしえの営みに想いを馳せるかの如くに。
現代は、昔ほどには雪は降らなくなりました。厳冬期に数度うっすらと積もる程度です。
ある朝、一面が白くなっていました。「これはシャッターチャンス!」とカメラ片手に一目散に出かけました。真っ白な苗木城跡は、特別な美しさ。急いで天守跡まで上り撮影しました。下り降りてくるころには、まるで夢の跡、冬の陽の光であってもさぁっと解けてゆきました。
苗木城は、美濃国恵那郡と加茂郡を治めてきた苗木藩遠山家の居城で、中津川市内を東西に貫流する木曽川の北岸に高くそびえる岩山(432m)に築かれていました。木曽川から山頂の天守跡までの標高差は約170mあり、懸造(かけづくり)という構築方法で自然の地形を最大限有効に生かして築かれた山城です。現在は石垣のみが遺り、巨岩の上には天守の柱梁が復元されて展望台となっています。
遠く恵那山を望む眺望や、別名「霞ヶ城」の如く川面に霧が煙る様は水墨画のようでもあります。また、苗木城の壁は白漆喰ではなく赤土壁だったために、「赤壁城」とも呼ばれていました。
天守跡、天守の柱のあった穴の痕、そのままに展望台が柱と立て木組みされています。その上に立てばあたり360度をぐるりと見渡すことができます。「あぁ、お殿様もこのすばらしい眺望をながめてござったのだろうか。」と、想いを馳せることでしょう。
眼下の木曽川は、今でこそ川幅も広く穏やかな流れですが、大正13年に恵那郡蛭川村(現中津川市蛭川)に大井ダムが建設されるまでは、苗木城跡周辺あたりは谷は深く、また水量が多くて深い淵があり大変な激流でした。
谷底には大きな岩がごろごろとあり、水が出ると流され岩同士がぶつかりあって砕けたそうです。まだ、明かりの乏しかった時代、暗闇の中怒号の如く轟きわたる川の流れは、如何ほどの恐ろしさだったでしょうか。「龍の子が棲む」と言い伝えが今も残っています。
〒508-0101 岐阜県中津川市苗木2897番地の2 TEL. 0573-66-8181
■営業時間 午前9:30~午後5:00(入館は午後4:30まで)
■休館日 月曜日・年末年始(月曜日が祝日等にあたる場合はその翌日)
■入場料 310円(団体10名以上、260円) ※他、回数券などあり
苗木遠山史料館は、中世・戦国時代から明治時代初期に至る苗木領の歴史的な文化遺産と苗木遠山家や苗木城に関わる貴重な資料が展示され、資料の調査・研究も行なわれています。
また、時折、前田青邨の作品の特別展示が行われてます。
SP. 和宮が愛用していたというそれはそれは美しい琴が展示されていました。きっと音色も美しいことでしょう!
今年、中津川は寒さは厳しいものの雪はさほどには降りませんでしたが、今朝は、一面真っ白に。早速、天空の城「苗木城跡」に行ってまいりました。
雪の「苗木城跡」は、又、格別の美しさ。ご紹介申し上げます。