猫たちの受難

  駆け足で秋が過ぎ去り木枯らしが冬の到来を告げる頃、さあ、いよいよ新しい出発です!! 

 期待と不安でいっぱいの私、でも、それを久々に楽しんでるもう1人のきみこ。何がなんだか分からずただただ不安の風船が割れんばかりに膨らみ、気が狂そうな猫たち。 

 それもそのはず、ききょうはベランダから落ちて以来、外の土を踏んではいませんでしたし、2匹とも、獣医さんとこへ行った時でさえ洗濯ネットに入れられゲージの中で、それ以外外出すらさせたことがありませんでした。私もこの子達と暮らし始めてからは、旅行はおろか帰省のときさえも日帰りで済ませていましたから...

 おまけに猫たちは始めての車、名古屋から木曽へ2時間ほどの長旅です。

 

 - ごめん、大丈夫だよ、大丈夫! - 

ききょうは

「みやぁお!みやぁお!」

すみれも

「びぎゃあごぉ!びぎゃあごぉ!」

車の中は、2匹の不安の叫び声が響き渡り、信号で止まると隣の車にも聞こえそうなほどです。もう、途中休憩もなし。少しでも早く車から降ろしてやりたくて、ただ、ひた走ります。

 - ごめん、大丈夫だよ、大丈夫!...  キキョウスミレダイジョウブ! ダイジョウブ!-

 

 - ダイジョウブダイジョウブキキョウスミレ -

私は呪文のようにダイジョウブを唱え続けました。 猫たちも、そして私もへとへとになってようやく実家へたどり着きました。