霜が降りて、寒さも厳しくなったある朝のことでした。勝手口から裏へ出ると、森からかぼそい鳴き声が聞こえました。
「なうぅなうぅ..」
「えっ?!」と目を細めてながめると、枯れ草の中に猫の耳がちらりと見えます。「野良だ!まだ、小さい。おなかすいてるんだわ..」
私を見つめて「ご飯ほしいよぉ」とばかりに枯れ草の中で後ろ足の上に座って前足を胸の前にもたげてめいっぱい背伸びをしました。
私はしばらく戸惑っていましたが「-しっかたないなぁ...」溜め息をついと「おいで」と呼びかけました。
野良は、警戒をして小さな声で「なうぅ..」と鳴きながらおっかなびっくり姿を現しました。まだ大人には成りきっていない若い猫、まあそのみすぼらしいこと!!腹は肋が浮いて、かろうじて毛が生えている皮が骨に張りついているかという姿。上目遣いで警戒しながら、キャットフードをバリバリ食べました。そして、一目散に森へと逃げ帰っていきました。