茶介

保護猫奮闘記ブログ猫大好き日本料理店
木陰からじっと私を見ていた「茶介」

その次の年の梅雨の晴れ間のことだったと思います。

お昼のお客さまがお帰りになった後、私は「草はよくはえるわ!」とぶつぶつと文句を言いながら草をむしっていました。だって、お店周りは、取ってもとってもあっという間の草まるけになってしまうんだもの!

なんだか気配がしてふと顔をあげると、少し離れた木陰に見慣れない猫がじっとこちらを見ていました。私は、カメラを向けても一向に動じる様子のないその子に何だか心惹かれて、「あんた、何処の子?」と声をかけましたが、野良が返事をするわけがありません。


しばらく私が草むしりを続けているといつしかその猫の姿は見えなくなりました。山へ帰っていったのかな?と考えていると、ちょっと離れた草むらの中で「にゃ」っと小さな声が聞こえました。えっ?? 私も「にゃ」っと言いました。又、すぐに「にゃ」っと返事が帰ってきて、「にゃ」「にゃ」と何度も何度もやり取りをするうちにだんだんと手が届きそうな距離に近づいてきたのです。そして、とうとう私の手元へ姿を現して、なでてほしいの!とばかりにごろんと身を投げ出したではありませんか。

まあまあ!私もこれにはびっくり! とても驚いたのですが、草をむしる手を止めて頭から尻尾の先までなでてやると「コロコロ」と喉を鳴らして心地よさそうにうっとりしました。「あんたの名前は茶介でいいかしら?」とたずねると嬉しそうに「にゃ!」と答えました。