「きのこときのこ山のお話」-その1

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山は尾根づたいに分け入っていきます。

美菜ガルテンふるかわから東に望む山々は木曽山脈の南端、福岡付知加子母を「裏木曽」とも申します。きのこたちは、秋の深まりとともに木曽の標高の高い山々から里へと下りくるのです。

美菜ガルテンふるかわへきのこを採ってきてくださるのは、おん年約80歳の婆様、丑三つには起きて数時間かけてきのこ山へ分け入るのです。

 

昨シーズンの終わりころ、のこのこと名人について山へご一緒させていただきました。

 

きのこ山は道などないのです。

写真左/黄色く色付く木立が尾根の上、巾は1~2mほど。

その両側は深い谷、斜面は急で這って降りなくちゃいけないほど普通に立っては歩けません。

「谷へ下りちゃいかん!」と何度も念をおされます。

名人は木々をぬってとっとと山の奥へ奥へと尾根づたいに入って行ってしまいます。

 

「絶対に谷へ下りてはだめ!

ここで待っててね。

ここへ必ず戻ってくるから..」とうとう置いてきぼり!

えっ?!だって、もうすでに遭難?

(いえいえ、まだ、車から10分ぐらい...)

尾根の一本道のはずなのに...

一人じゃあどっちから来たのかも迷うほど...

 

「熊も出るから...」と聞いていましたが不思議と恐ろしさはなく、森の静寂に包まれ心が安らいでいきます。

時を忘れること30分ほどで名人は戻っていらしゃいました。