「きのこときのこ山のお話」-その3

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倒木は苔むして、木洩れ陽がちろりちろりとささやくと小さな命が復活する。月日を経て再び大木となるのだろう。

 

「きのこ山へ行かずにはおれんのよ!」と名人がおっしゃいました。

「ふるかわさん、ありがとね。今年も元気に山へ行ける、山へ行くことが楽しいから元気でおれるんだわ!」

 

名人が採ってみえるきのこは基本的にすべて譲っていただいています。

こちらこそほんとに有難うございます。

名人がたくさん採ってきてくださるから、私共もお客様にきのこをお召し上がりいただけるのですから...

 

そして、名人のお話は興味深い事ばかり...-

 

「朝、暗いうちから山へ分け入るんだよ。

闇夜でも懐中電灯はだめだよ!

きのこの生え場は内緒!、懐中電灯なんか持ってはいりゃあ明かりを追って跡をつけられちゃう!」

 

-熊もいるのに明かりもなしなの?ー

「う~ん、今年は熊も多いから.. 鈴は一応つけて入ってるけど...」

と、腰に付けた小さな鈴を見せてくださいました。

-何も熊の生息数が急に増えたわけではありませんが、熊の餌となる木の実などの少ない年はその行動範囲が例年にも増して広くなるので結果的に人と出会う件数も増えるということだと思われます。

「熊は気配でわかるのよ。もともと山の熊はとても用心深くて臆病だから、ばったり出会って驚かせたりしなければ大丈夫....」

「そして、そっと離れた距離から人がいること知らせて様子を見る。熊はこちらに気が付くとゆっくりと離れていくから。」

「里へ下りてくる熊はだめだよ。山で出会う熊よりも危険なの!里で美味しいものを食べることを覚えている。

例えば自販機の横のゴミ箱の空き缶!空き缶に残るジュースをなめに来るのよ。熊にとってははちみつよりも簡単に手に入る忘れられないごちそうなんだろうね...」

 

「鈴もね、きのこの生え場近くになると懐へしまいこむのよ..」

とにっこりとなさいました。

 

山へ持ち込んだものはきれいに持って帰る。熊をはじめ野生動物にとっては人間の持ち込むものは刺激的すぎるから、食べ物も落としてきてはいけない。その味を占めてしまうから。勿論、ゴミも持ち帰るとおっしゃいました。

 

...本当にありがとうございます。